農業の安全について
農作業は、他の業種に比べて、死亡事故が多く、建設業とほぼ同じ死亡者数で、全体の従事者数を考慮すると大変危険な仕事です!
刈払機事故の4つの特徴

①傾斜面・法面での滑りや転倒による事故
・傾斜地・法面は滑りやすい→小段の設置、スパイク靴の着用
②回転刃の事故(接触、飛散物)
・キックバックや小石、チップの飛散→防護の徹底、飛散物カバーを外さない
③事前の環境確認で防ぐことができた事故
・草むらの中に潜む杭や空き缶など→慣れた場所でも事前確認
④エンジンを止めずに起こった事故
・回転を止めず、草の詰まりなどを除こうとして→確実にエンジンを切ってから
滑りやるい傾斜地だが、法面途中に足場や小設が設けてある。

(改善のポイント)
法面そのものの傾斜改善には、大掛かりな土木工事が必要となり、長い法面には小段を設けるのが現実的です。
(改善事例)小段の造成
<富山県の事例>
地元農協が中心となって行政や関係機関と連携して小段を設置。
飛散カバーなど、安全装置を装備して適切に使用している。

(改善のポイント)
安全装置には、飛散物防護カバー、緊急離脱装置、停止スイッチ、トリガー式スロットルなどがあり、適切な使用が重要です。
(追加のポイント)
刈払機の使用前に刃の固定を確認したり、定期的に機械の点検を実施することは、機械作業の基本です。
乗用トラクターの死亡事故

平成26年に発生した農作業死亡事故のうち、乗用トラクターによる死亡事故が27%を占めています。乗用トラクターによる事故の実に8割近くが、ほ場や道路からの転倒・転落によるものです。
安全キャブもしくはフレーム付きの乗用トラクターを使用している。

(改善のポイント)
農作業事故の現状を知り、積極的な対策を講じましょう。
安全キャブ・フレームの効果を高めるため、シートベルトの着用を!
作業終了後、ほ場を出る前にブレーキ連結を確認している。

(改善のポイント)
取扱説明書や販売店の説明などで、自動車とは異なるトラクターの特性を知り、安全で効率的な運転・操作を身につけましょう。
(追加のポイント)
①新型のトラクターには片ブレーキ防止装置が装備
②ブレーキの遊びの調整を!
畜産業では、作業機械による事故に加え、搾乳中、出荷時等に牛が予想外の動きを取ることなどによる事故が発生しています。
さとうきび収穫機械(ハーベスト)による事故の特徴

- 傾斜面でのハーベスタ横転による事故
●傾斜地での移動時の注意、周囲の確認 - ハーベスタの死角補助員との接触、衣服巻込みなどによる事故
●周辺確認の徹底、十分なコミュニケーション適切な服装など - 整備・点検等の不備によるハーベスタ火災
●消耗品の劣化や電気系統の点検 - 収穫関連作業時に起こった事故
●収穫後のトラックへの積込みなど重機による関連作業時も注意が必要
《事故対策について》
ハーベスタによる事故の原因は、環境的要因、機械的要因、人的要因など様々ですが、事故の要因を理解し、作業員全員が十分な対策を行うことで、事故を防ぐことが可能です。
《具体的な対策について》
①さとうきび収穫をする際は、適切な服装で作業する。
②点検・清掃は、必ずエンジンを止めてから実施する。
③収穫時は、必ず補助員を配置し、周囲に人がいないか確認する。
④経験が浅い補助員に対する安全指導を徹底する。
⑤オペレータと補助員は、収穫作業の事前調整を徹底し、収穫作業も十分に連携を取る。また、補助員は、ハーベスタの死角に入らないよう徹底する。
⑥ハーベスタ火災を起こさないために、収穫後は、エンジンルームを常に清掃する。また収穫作業は、風向き等も考慮して行う。
⑦万が一火災が生じた場合を想定して、自動消火器の設置などの対策をとる。
⑧傾斜地でのハーベスタの移動や積み降ろしの際は、横転等に十分に注意する。
このような事故が報告されています!

- 畜舎の清掃作業中や牛の移動中に、牛に押され転倒し骨折
- 搾乳作業中、突然牛が暴れだして倒れてきたことで負傷
- TMRミキサーの内部を清掃中、カッターで手を裂傷
- バーンクーリーナーの点検中、家族がスイッチを入れてしまい指を切断
事故を未然に防ぐために…

- 急な動作で牛を驚かさない、ヘルメットや安全靴を着用するなどの安全確保を徹底しましょう。
- また、牛が興奮しているときは落ち着くまで待ちましょう。
- 機械の点検等を行う際には付属の《警告表示プレート》を使用し、作業中であることを他者に伝えましょう。
- 従業員間や地域の畜産者の間で「ヒヤリハット体験」を共有しましょう。
飼料タンク、サイロ等の高所・閉鎖空間での作業を行う際の留意点

転落事故の可能性が高い箇所では…
- ヘルメット、安全帯や命綱を必ず使用する
- 靴は泥を落としたり滑りにくいものを履く
- 昇降は荷物を背負うなど両手が空くよう工夫する
酸欠等の危険性がある閉鎖空間では…
- 作業をする場所と時間を家族等に事前に知らせる
- 作業開始前に十分に換気を行う
- 作業時には安全帯を着用し、脱出用の梯子を用意する